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第271話 

修は黙ったまま、鋭い視線で松本若子をじっと見つめていた。その眼差しは、彼女の全てを見透かすかのように鋭く、まるで一枚一枚と彼女の心を剥がしていくようだった。

若子はその視線に不快さを感じ、何事もなかったかのようにソファに横たわり、スマホを脇に置いて目を閉じた。

しかし、彼の熱い視線がまだ自分に向けられているのを感じて、とうとう目を開けて彼の方を見やった。

果たして、修はじっとこちらを見つめている。

彼の視線が気まずく、若子は体を反転させ、背中を向けてみたが、それでも彼の視線が自分の背中に突き刺さるように感じ、冷やりとした感覚が走った。

彼女は目をぎゅっと閉じたままにできず、勢いよく起き上がり、藤沢修をじっと見返して、大きな目で睨んだ。

「何見てるの?」

「なんで彼と話すのをやめたんだ?」藤沢修が冷たく、少し嫉妬混じりの口調で尋ねる。

「なんで?じゃあ、彼とずっと話してほしいの?」若子が問い返す。

「お前が彼と話すかどうか、俺に聞く必要があるか?俺たちはもう離婚したんだろ?」

その声にはほんのわずかに嫉妬の色が見え隠れしていた。

「誰が聞くって言ったの?」若子はそっけなく言って唇を少しとがらせた。「私が誰と話そうと関係ないでしょう?」

「関係ないさ」藤沢修は冷静を装い、「俺は何も言ってない」

そう言われても、若子はなぜか心の中に引っかかるものを感じた。藤沢修の視線が、何か微妙に違うように感じたのは、彼女の思い違いだろうか?

若子は自分がこの男にあまりに簡単に感情を左右されていることに気づき、少し苛立った。何を言っても、何も言わなくても、彼といると不思議と落ち着かない。

ちょうどその時、スマホが再び光った。彼女が手に取って確認すると、新しい友達申請が来ていた。

【私は遠藤花】

若子はすぐに承認し、友達になると、遠藤花からすぐにメッセージが送られてきた。

【お兄ちゃんから君の連絡先をもらうのにすごく苦労したよ。全然教えてくれなくて、ケチなんだから。絶対君はオッケーしてくれるって言ったのに、あの意地悪め!】

花は怒った表情のスタンプを添えていた。

若子は微笑み、【そんなにお兄さんを悪く言わないで。彼もただ慎重なだけなんだと思うよ】と返信した。

花:【慎重なんかじゃないわよ、ただのケチ!】

若子:【でも、最終的に教えてくれたんだから
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